自分が読んだ本について、
- どんな人におすすめか?
- どこが良かったか?
- 自分なりの感想
などを書いています。
目次
今回読んだ本
- 「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト
どういう人が読むといいか
- AIの進化に興味・関心がある人
- 自分の仕事が将来AIに代替されるのではないかと考えている人
- 仕事がAIに代替されるにしても、どの作業がどれぐらいの期間で代替されるのかを知りたい人
など
読んで得られるもの
- 結局、どれぐらいの期間でAIが発展していくのかがわかる
- 自分の仕事がAIにどれぐらい代替されていくかがわかる
- どういう仕事がAIに代替されにくいかがわかる
- そもそもこの説がいつ、どこから始まったかがわかる
など
読んでわかったこと・ためになったことのメモ
- AIによる雇用崩壊は実際どこからどんなペースで広がっていくか。それを実務現場などを取材しながら明らかにしたのがこの本
- 機械はコツや熟練が必要な高度で習得しがいのある技術については、全て人から奪っていき人間は機械のやらないこまごまとした「隙間」を埋める作業をやるようになっていく
- AIという言葉が初めて世に登場したのは1956年
- 米国ダートマスで開催された学術会議でジョン・マッカーシーらが人間のように考えられる機会を「AI」と名付けた
- 1950年代後半から60年代にかけ、欧米を中心に第一次AIブーム
- パズルやゲームといった知的遊戯をAIに解かせるというもの
- ただそれは、知的というには程遠い「力技」の定型処理に他ならなかった
- 1980年代に入り、第二次AIブーム
- ブームを支えたのは「知識」
- 医者や弁護士のような仕事を外部から与えられたデータや事実を解釈し結論を導き出す
- 2000年代後半に第三次AIブーム
- 今度のキーワードは「学習(ならびに統計)」
- きっかけはディープラーニング(深層学習)
- 2006年イギリスのジェフリー・ヒントンにより考案される
- 機械自身が自分でルールや法則を学び、自ら高度な知識を積み上げていく
- 現代段階のディープラーニングは所詮機械学習分野の一発明にすぎず、その成果は限定的という捉え方と、正真正銘AI開発のエポックでありこれから世界を大きく変えるという2つの見立てがある
- 社会活動全般を大きく変革させるような一大発明を「汎用目的技術(GPT/General Purpose Technology)」と呼ぶ18世紀の産業革命における蒸気機関などがそれに当たる
- 日本の場合、末端社員まで判断や折衝を求められるタスクも担っており1人の社員が多様なタスクに従事している傾向が高い
- これがIT化による自動化の妨げになっているとも考えられる
- 1990年代以降、ルーティンタスクの典型である製造系ワークはより人件費の安い途上国に流出し、産業の空洞化が進んだ
- 人事に関するデータをいまだに紙で管理している企業もかなりたくさんあるので、AI化だと騒ぐ前にまずはIT化の徹底が先決
- 売上げが良い店ほど働く人たちの人間関係が良い
- BtoBの場合、大金を動かすこともあるし専門領域の知識や経験も重要なため人の儀礼的行為が残るが、廉価なBtoCサービスだとそうした儀礼的行為よりも価格が重要となる。だから置き換わりが早い
- 少子化と人口減のヤジロベエ状態
- 少子高齢化でどんどん生産年齢人口は減っている一方、構造転換により人手が余るセクターが併存していた
- しかし2008年から4年続いた超円高により空洞化や淘汰が完全に進み構造転換は完了した
- そのため今後は労働力不足が色濃く社会に影響を及ぼすことになる
- 地道なAI化と機械化で人は「隙間仕事」に追いやられる
- そこまでは、セルフレジなどのサービスレベルの低減により流通サービス業は人手不足を乗り切ることになる
- 2つ目はすべて自動化するのではなく機能をしぼって自動化し、その隙間を人が請け負うという形。例:回転寿司の「握り」や食洗機
- 技能実習生の大幅な要件緩和は、「途上国の低賃金労働者の移民」による人手不足解消が目的
- 外国人留学生は日本滞在10年で永住権が取得できるため、なかなか辞めない
- これから15年でAIに取って代わられる仕事として挙げられることの多い、通訳・翻訳・運転・プログラミング・各種士業について、雇用構造に与えるインパクトはそれほど大きくはない
- 理由は、これらの分野は就業者数が多くないから
- さらにその少ない就業者のうち機械化できるような単純業務についている人はさらに少ない
- 例:士業の多くは、企画・コンサル・渉外・営業なども担当している
- 製造業の空洞化について
- カントリーリスクや輸送費など費用も余分にかかるため、工場労働者の人件費が本国と比べて3分の1以下でないと釣り合わないらしい
読んだ感想
- メディアではAIによって仕事がなくなるという話がたびたび出るが、この本を読んでみて、
- 数年のうちに、というような直近の話ではないこと
- AIに代替されるといっても、ごく単純な作業だけであり、日本では特に一人が複数の仕事を担当しているので完全代替は難しく、むしろ、単純な事務作業などのめんどくさい作業をAIが代わりにやってくれて、営業などの分野に集中できるというようなメリットの方が多いのでは?と感じた
本の詳細
- 題名:「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト
- 著者:海老原 嗣生(えびはら つぐお)
- 発行者:北畠 夏影
- 発行所:株式会社 イースト・プレス
- 印刷所:中央精版印刷株式会社
- 価格:1300円+税
- ページ数:213ページ
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