自分が読んだ本について、
- どんな人におすすめか?
- どこが良かったか?
- 自分なりの感想
などを書いています。
目次
今回読んだ本
- 職場のあの人、もしかして発達障害?と思ったら?
どういう人が読むといいか
- 「発達障害」という言葉は聞いたことあるが詳しくは知らない人
- 発達障害の人はどんな特徴があるのかを知りたい人
- 自分は発達障害なのかな?と考えている人
- 企業の障碍者雇用の採用担当者
読んで得られるもの
- 職場に発達障害の同僚や部下の人がいる場合の対応の仕方がわかる
- 発達障害の特徴さえ掴んでしまえば、健常者と何も変わらない、もしくは分野によっては健常者以上の能力が発揮できることがわかる
- 自分が発達障害なんだと自覚できた場合、もやもやした気持ちが晴れて楽になることもある
良かった点
- 職場の発達障害の人に対して、立場別に接し方が書かれていて読みやすかった
- 発達障害の人の特徴が書かれているので、自分にそれに対する心の準備ができて有用だった
読んでわかったこと・ためになったこと
- 発達障害のグレーゾーンの女性は、母親と関係性が悪いケースが多い
- 発達障害とは、幼少期から現れる発達のアンバランスさによって、脳内の情報処理や制御に偏りが生じ、日常生活に困難をきたしている状態のこと
- ある研究によれば、ひきこもりの人たちの3割に発達障害があったことがわかった。そしてそのほとんどは、本人も家族も気づかず診断もされていない人たちだった
- 会社として安全配慮義務の延長線上の課題などから発達障害の可能性がある人の判断を明らかにしたい場合、拙速な行動をとってはいけない。
- 障碍者雇用において就職1年後の職場定着率が以下のように長続きしない傾向がある
- 身体障碍者で約6割
- 知的障碍者で約7割弱
- 精神障碍者で5割以下
- 障碍者雇用において、上司の悩みは「コミュニケーションがとれない」ということ。具体的には、以下のようなクレームが健常者社員からくるのだそう。
- 勝手に仕事をする
- 期限を守らない
- 口答えをする
- ミスをしても周りに迷惑をかけている自覚がない
- 発達障害の人は「個人中心的」な考えが多いので、個人よりも組織の運営を重視する定型発達者の姿勢と相容れないこともあり、同調圧力には多くのストレスを感じてしまう
- 障碍者雇用で圧倒的に多い相談は、「障碍者にやってもらう仕事がない」
- 正確に言えば、「ない」のではなく「見つからない」
- 発達障害がある人の多くは
- ハードスキルには重篤な問題がない
- 簡単な作業では飽き足らない
といった理由から間接業務に特定した業務だけではモチベーションが続かない傾向がある
- 発達障害がある人は、全般的に他人との距離が近いといわれている
- 発達障害は先天的な脳の機能障害なので、発達凹凸の凹を定型発達者レベルにそろえることは困難
- むしろ、凹凸の凸の部分を活かして働けるように最適な仕事や環境を整えることが重要
- 発達障害がある方は、一般に子供のころから親以外の大人と話をする機会が極端に少ないため、言葉の理解やスムーズな会話をしにくい面がある
- 発達障碍者とともに働く人々は「コミュニケーションが苦手な人だから、コミュニケーションの必要が少ない仕事をさせよう」というよりは、苦手なコミュニケーションにあえてチャレンジさせる機会を随時設けるとよい
- 発達障害、特にASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)の人には雑談が苦手な人が多い
- ASDの女性は男性に比べておしゃべりのスキル(経験値)が低いという報告もあってスルーする(聞いてないふりをして受け流す)ということが難しい
- 発達障害の人は、一般に人と打ち解けるまで時間がかかる傾向にありますが、いったん信頼関係が生まれると長続きする
- 生来「嘘」がつけないので真意を測るのはそれほど難しくない
- 発達障害の人からの質問は、
- やりたい仕事とできる仕事のどちらを優先したよいですか?
というのが多いそう
- やりたい仕事とできる仕事のどちらを優先したよいですか?
- 一番いいのは、
- やりたくて、できて、人に感謝される(人の役に立つ)仕事
なかでも「人に感謝される」が重要 - 理由は発達障害の人は自己評価が低い人が多いから。
- やりたくて、できて、人に感謝される(人の役に立つ)仕事
- 発達障害は治る・治らないという障害ではない。〇〇という特製、△△の傾向がある、という捉え方で考えるもの
- 発達障害の人は向上心が強いので仕事に慣れてきたら高スキル化・戦力化を図るため、徐々に働くステージを上げていく育成が望まれる
- ソフトスキルとは、仕事以外の能力、対人関係や日常生活能力、たとえば「休憩時間の過ごし方」のような職場適応能力のことをいう
- 発達障害の人は感情表現があまり上手ではない
- 発達障碍者をほめる4つのポイント
- その場で褒める
- 褒める理由を明確に言う
- 頑張りを評価する
- 心からの思いをメッセージで伝える
- 初めて障碍者雇用を取り組もうとする企業に往々にして見受けられるのが「総論賛成、各論反対」だそう
- 反対には絶対反対と不安だから嫌という2種類がある
- 発達障害者のサポートには知的障害者に対するような密着型の手厚いフォローは必要ない
- 日本の企業社会では価値観を意図的に衝突させ、それによってお互いに変わっていく作業を省略し、上位者や経験者が価値観を押し付ける傾向があるので対話が育ちにくい風潮がある
- 発達障害がある人は複雑なルール理解が苦手で、暗黙のルールなどはなかなかついていけない
- そのため仕事のルールを最低限にとどめるのがよい
- 発達障害の人と接するにあたっては、まず「声かけ」で円滑な空気を作るのが大事。声かけの内容は挨拶やちょっとした確認、雑談など些細なことでよい
- 発達障碍者から声かけをするのは心理的ハードルが高いのでなるべく周りの人たちから声をかけるとよい
- 対話の機会は励ましや動機付けの機会として持つことに意味がある
- 発達障害の人はやったことがない仕事に対して、なかなか積極的になれなかったり馴染みにくい傾向があるが、理解力が高いため、マニュアルがあったり、いったんパターンを覚えてしまうと「できる」ようになる
- 発達障碍者には「できるを増やし」「できないをやらせない」ことを徹底することに加えて、その「できる」の中から「異能」を発揮することが可能なマッチングの良い仕事をなるべく発見することが「戦力化」の肝となる
読んだ感想
- この本の発達障害の特徴を読むと、若者のかなりの部分が発達障害に該当するかもしれないと感じた。逆に言えば、それまでの人たちは自分の中で我慢するしかないとか、社会からドロップアウトするしかなかったのかもしれない。
- そう考えると、自分が発達障害であることを気軽に気楽にカミングアウトできるようになる社会にしていくことは意味があると思った。
- 発達障害の人は、
- 嘘がつけない
- いったん信頼関係が生まれると長続きする
といった傾向があるので、むしろ健常者より信頼できる人ではないか、と思った
- 経営者や上司には、発達障害の人をうまく自分の会社にフィットさせられるかどうかが、自分の腕の見せ所だと思ってほしい
本の詳細
- 著者:木津谷 岳(きづや たかし)
- 発行者:斉藤 和邦
- 発行所:株式会社 秀和システム
- 印刷所:日経印刷株式会社
- 価格:1000円+税
- ページ数:182ページ
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